群馬県立近代美術館企画展「理想の書物」
もともと本を読むことが好きで、本そのものも好きなので、この企画展にはとても興味を惹かれました。
開会式では、この企画展を実施するにあたって、学芸員さんたちの熱い想いがあったこと、郡山市立美術館や株式会社モリサワほか、各地の美術館や民間企業、個人の方々等に多大な協力を頂いて開催することができたとの説明がありました。
いうまでもなく、書物は読むものであって、その価値は中身にあります。とはいえ、その中身は一見しただけではわからないということもあり、中身の価値を伝えるために、形としての書物をどのように作り上げるべきか、さまざまな試行錯誤があったのだと思います。
美術というのは、さまざまな存在を美しいと感じた人のこころの動きを他の人に伝えるための技術だと思いますが、書物の中身に心を動かされたひとが、それをさらに他の人に伝えるために形をつくり、その形、あるいは行為そのものを美しいと感じた人たちがこのような企画展を通じてさらにその美しさを伝えていく、さざなみのような人のこころの動きの連鎖が感じられます。
企画展は全体を二部構成とし、第一部では19世紀のイギリスで作られた美しい挿絵本を中心に紹介し、第二部では19世紀後半に量産へと向かった書物の生産を改めて見直し、「理想の書物」をつくろうとする運動の成果を追っています。
展示期間は9月17日から10月10日までが前期、10月13日から11月13日までが後期となり、途中一部展示替えや場面替えを行うとのことです。
小さな紙の束の中に、世界そのものが広がっている魔法の塊のような「書物」を過去の人々がどのように捉えどのように作り上げてきたのか、この秋、群馬県立近代美術館でご覧になってみませんか。
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