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2017年7月17日 (月)

空き家対策(後編)

前編では、空き家が増えていることとその理由、管理されていない危険な空き家の対策について考えてみました。

後編では、危険だということ以外にも空き家の問題点があるのかどうか、考えてみたいと思います。

【空き家がまちづくりに与える影響】

危険な空き家の対策は、まだまだ始まったばかりで、課題も多いとはいえ、本当に危険で、ほかにどうしようもなければ、前編で紹介した方法で一部の空き家の対策をすることができます。そこまで行く前の段階で、助言や指導、勧告に応じて対策をとってくれる空き家の持ち主も多いと思います。

それでは空き家があっても、きちんと管理されていて周辺に迷惑を及ぼさなければ、問題はないでしょうか?

危険な空き家ほどの緊急性のある問題ではないかもしれませんが、きちんと管理されていたとしても、空き家が増えることに問題はあります。

空き家だけではなく、空き店舗や、耕作放棄地などにも共通する課題ですが、それはこれまで巨額の費用を投じて整備してきたインフラを利用する人が少なくなってしまう、ということです。

公共交通や公共下水道、公共施設などを整備してきた費用は、それを使う人が多ければ、一人当たりのコストが少なくなりますが、使う人が少なくなればなるほど非効率になってしまいます。今後、インフラが徐々に老朽化して、メンテナンスの費用をどうねん出していくかということを考えると、使う人が少なくなってしまうことはさらに問題です。

住宅が郊外に際限なく広がっていくことで後々必要となってくると思われるコストはたくさんあります。たとえば移動のための新たな公共交通の整備や、上下水道などのインフラ整備のためのコストです。これらの費用を今後確保していくことは、きわめて困難と言わざるを得ません。

だとすれば、すでに投資が済んでいて、最小限のメンテナンス費用で利便性の高い生活を送ることができる地域に、なるべく多くの人に住んでもらう方法を考える必要があります。

空き家の問題は、将来のまちづくり全体をみすえて考えていかなければならないのです。

【空き家を減らすには?】

それでは、空き家を減らすにはいったいどうすればいいのでしょうか。

前編で、空き家を増やさないためには、世帯数を増やすか、住宅の数を減らすかしかない、と書きました。

世帯数はどうやったら増やせるでしょうか?

人口はすでに減り始めていますが、世帯数はさきほども書いたように、まだ減ってはいません。その理由は、1世帯当たりの人数が少なくなっているからです。核家族化だけではなく、高齢者の一人暮らしの増加や、離婚、単身赴任などさまざまな理由で世帯が細かく分かれ、伸び率は鈍ってきているものの、まだ増加しているのです。

しかし、1世帯あたりの人数を減らせば世帯数が増えるからと言って、離婚や単身赴任、高齢者の一人暮らしを奨励するというのは、おかしな話です。世帯数を増やすなら、少子化による人口減少に歯止めをかけることによって人口を増やしつつ結果的に世帯数も増やすことを目標にするべきでしょうが、そのための有効な対策が打てていないからこそ、空き家問題を含め様々な課題が出てきているわけです。

人口減少に歯止めをかける方法については、別途考えていくこととして、ここでは世帯の数が減少傾向にあり、その状況が当分続く、ということを前提とせざるを得ないでしょう。

それでは、住宅の数を減らす方はどうでしょうか?

住宅の数を減らすには、二通りの方法があります。新しく建てる住宅の数を減らすこと、あるいは古い住宅の解体を進めることです。

新しく建てる住宅を減らすことは、限りある資源を有効に使うことができる、という利点があります。一方で、投資を減少させ、建築業界などの仕事を減らすことで、経済的なマイナスもあるでしょう。

古い住宅の解体を進めるのは、放置された危険な空き家を減らす観点から、重要なことです。しかし、まだ使えるものまで解体してしまうとすれば、それは資源の浪費につながりかねません。

結局のところ、もうどうにもならない空き家を解体するなどしつつ、それに見合った建設を進めていくというのが現実的な方向性だと考えられます。

ただし、空き家の解体数に見合った建設を進めるときには、さきほどお話したように将来のまちづくり全体をみすえていかなければなりません。

人口減少が続いている以上、どの地域も均等に発展させるようなインフラ整備やまちづくりは限界であり、街中に増えた空き家を再利用したり解体して新しい建物を建てる機会を利用して、持続可能なコンパクトなまちづくりや新しい価値観のライフスタイルを現実化させていかなければなりません。

世帯数がまだ減少していない今でさえ、深刻さを増している空き家問題。個人の所有する財産の価値の変動や企業の生き残りにも関わる難しい課題ですが、利害関係を慎重かつ公平に調整しつつ、目指すまちづくりの方向性を明確にして進めていかなければならない課題だと考えています。

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コメント

空き家対策の説明、素人にも解り易くとても良かったです、次はいま話題の耕作放棄地対策についての分析と説明を宜しくお願いします。今後とも庶民向けの問題説明宜しくお願いします(女性版池上さん)。

投稿: 考える人 | 2017年9月17日 (日) 18時52分

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