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2007年11月 9日 (金)

貧乏人は医者にかかるな!~医師不足が招く医療崩壊~

この衝撃的なタイトルの本は、先月発売になったばかりの新しい本です。医師不足の問題には以前から取り組んでいますが、ある方からお勧めいただいて、さっそく読んでみました。

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厚生労働省が医師不足を認めていないどころか、医師が過剰になることを防ぐためとして1987年から2004年まで毎年医学部の定員を減らしてきたこと、また、医師免許が生涯有効であることから、年齢の上限なしにすべての医師免許を持っている医師を現役の医師として数えていることなど、ショッキングな話が多く挙げられています。

現在絶対的な医師数が不足していること、将来はさらに医師が不足し、医者にかかりたくてもかかれない時代がやってくることなどをさまざまなデータを元に予測する内容は、説得力に富むものでした。

それでは、そのような医療崩壊を招かないようにするために、どのような対策があるのでしょうか?

この本によれば、まずは医学部の定員を大幅に増やし、医師の数を増やすことが必要だといいます。しかし、新米医師が一人前になるために必要な研修を指導することのできる医師の数を考えると、医師を増やすにも限界があります。

また、外国から医師を輸入するという方策も考えられますが、実は医師は世界的に不足しているため、これもなかなか難しい。

では、患者が海外に医療を受けに行くことをサポートするのはどうか?実は、日本の医療費は海外に比べると非常に安く、海外で医療を受けるとなると今よりもはるかに莫大な金額がかかるため、結局お金持ちの人しか行けないということになると指摘しています。

最終的には筆者は一般国民は常に健康であり続けるよう自分で努力するしかないだろうと皮肉をこめて書いています。すでに医師不足は決定的になってしまっており、これを回避することはおそらく不可能であるので、そのような時代を生き抜く知恵を一人一人が身につけるしかないというのです。

わたしは、このことは超高齢化、人口減少社会というこれまで私たち人間が一度も経験したことのない事態が引き起こす数々の問題の一つの表れに過ぎないと思います。医療だけでなく、介護も、福祉も、人手が足りなくなり、手を打とうにも税収も下がってできることが限られてしまう。そんな時代がもうすでに到来しつつあるのです。

それでは、わたしたちにできることは、“座して死を待つ”ことしかないのでしょうか?わたしは、この時代を乗り越える最後のキーワードは「市民の力」しかないと思います。人口が増加し、高齢者が少なく現役世代が多い時代は分業や専門化が進み、わたしたちは自分の仕事のこと以外はお金を払って専門家に任せてきました。

しかし、人口が減り、それが維持できなくなれば、わたしたちは一人が何役もこなさなければならなくなります。仕事をし、家事をし、育児をし、介護をし、地域活動をし、ボランティアをし、政治に参加し・・・そうすることで縮小する世界を支え、崩壊させることなくこじんまりと落ち着いた社会を築いていかなければなりません。

それは、仕事量の多すぎる、耐えがたい負担過多の社会でしょうか?いいえ、わたしはそうは思いません。それは、分割された社会の歯車としての生き方から、人間性をとりもどし、統合していく営みだと思います。他人の仕事や立場、そして気持ちを理解することなしには成り立たない、面倒といえば面倒ですが、人のつながりが生き返る社会でもあるのではないでしょうか。

わたしたちは、未来に向けて現状をしっかりと把握し、できることとできないことを見分け、できることは確実に実行しつつ、できないことはどうフォローしていけばいいかを考え、来るべき人口減少社会に備えていかなければとの思いを新たにしました。

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コメント

 ご意見に全く同感です。互いの立場を理解し、人のつながりを、実感できる社会を築きたいですね。

投稿: 永井羊一 | 2007年11月 9日 (金) 14時16分

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